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厚生労働省主催 医療ソーシャルワーカーリーダーシップ研修会報告

[期 日]平成20年10月28日(火)〜10月31日(金)

[場 所]国立医療保健科学院(埼玉県和光市)

市立大村市民病院 地域医療連携室 MSW H
 国立保健医療科学院において例年行われていた「医療ソーシャルワーカー初任者研修」について、研修内容の見直しがなされ、医療社会事業に従事する職員の資質の向上を図ることを目標とし、今年度からは「医療ソーシャルワーカーリーダーシップ研修」が実施されることになり10月28日から10月31日の4日間の研修を受講させて頂くことができました。
 全国各地の医療、及び介護施設現場で従事する医療ソーシャルワーカーの研修とあって、初日の研修の意見交換会や、2日目からのグループワーク演習では深夜に至るまで協議したグループもあるほど、真剣に、そして活発で有意義な日程となりました。
 受講内容については「医療ソーシャルワーカーの業務」「地域医療」「医療・福祉の経済」「人権擁護とソーシャルワーク」「医療安全」「療養環境」をはじめ厚生労働行政の動向を見据えた内容でした。
 その中でも、現在医療を取り巻く環境は大きく変化し、めざましい医療技術の発展、人口の高齢化に伴い疾患構造は慢性疾患が激増し、医療サービスを提供するためには、これまで以上に機能分化、連携強化のシステムが必要となっています。病院だけで完結する医療システムや、医療だけで完結するケアシステムは終わり、医療制度改革の方向性として生活の質を確保し向上を通じた医療費の適正化のために、地域ケア体制の整備構想が課題となっています。
 このような状況の中で、平成20年4月よりソーシャルワーカーが行う退院支援が保険報酬として保険評価となりました。この退院支援を様々な専門職、関係機関と連絡・調整して事態を進めていく中で、社会福祉の専門的知識と技術を生かした医療ソーシャルワーカーが、病院だけのソーシャルワーカーではなくコミュニティーの資源となって、貴重なソーシャルワーカーの存在として機能していく必要があります。また、地域社会・地域住民と地域連携システムの繋ぎ役となり、貢献していく必要を感じます。
 
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社会福祉法人幼老育成会 居宅介護支援事業所サクラ MSW K
 今回の研修は、平成13年に受講した『医療ソーシャルワーカー初任者研修』の続編で、ソーシャルワーカー実務経験10年以上の者を対象とした者でした。初任者の時には、医療ソーシャルワークの基本について学んだのに対し、今回はこれまでの経験を踏まえて「知識を取得し、周囲に説明できるレベルに到達する」ことを目標としたものでした。
 研修で多くの時間をかけて行ったことは、グループ演習です。まず、「組織・顧客・システム・マネジメント・リーダーシップ・・・」などの概念や「問題解決のプロセス」について学び、それらを踏まえた上で8人1組のグループで医療ソーシャルワーカーが抱える問題点について討議しました。その後、アウトカム(人々の行動・状況・健康・希望・資産・能力などとして表現できる生活が改善されること)の視点で、問題点を重要度ごとに分類し、ツリーを用いて原因分析、解決策を導き出しました。最後にはグループごとに発表をし、他のグループの内容に対しても必ず1人1回は質問をして、互いに評価しあうという形式で進められました。
 講師より、「今回は、論理的に考え、発表するというソーシャルワーカーが苦手意識を持ちやすい分野を重点的に演習に取り組んだ。」と言う話しがありました。普段は、安易に問題解決に結びつけてしまいがちですが、プロセスに時間をかけてそれぞれの段階を学んでいく作業は貴重なものでした。
 多様な講義を受ける中で、ソーシャルワーカーとして個別援助のみにとどまらず、広い視野を持って、組織の中での役割を理解すること、新たな知識を習得し説明できる技量を持つこと、医療・福祉関連動向にも絶えず目を向けることなど必要であると感じました。また、ソーシャルワーカーとして20~30年のキャリアを持つ全国各地の方たちと、日々の業務のことやその他諸々の話しをできたことも大変貴重な機会でした。
 講義の要点・印象に残った点を以下の通りにまとめました。

【期待される医療ソーシャルワーカー】
・時代によって医療ソーシャルワーカーへの役割期待も変化してきている。患者を集め、患者を出す(平均在院日数短縮)から、患者満足度を高める役割へ。
・平成14年、福祉職棒給表が適用され、福祉職であることが確認された。

【厚生労働行政の動向と医療ソーシャルワーカーの役割】
・医療費抑制のため、適正な在院日数や疾病予防への取り組みの重要性について。
・退院調整の取り組みの評価として、退院調整に関する経験を有する専任の職員が計画を策定し、退院までつなげた場合の「退院調整加算」を創設した経緯。

【顧客満足】
・医療業界の変化。病院選択の時代に、どのような意識を持ってサービスを提供するか。
・顧客=患者さんだけではない。4つの顧客(患者・職員・連携施設などのパートーナー組織・オーナーや地域)が満足することで、顧客満足が得られる。
・何らかの理由で自分が擦り減ってくると、「無関心・無視・冷淡・恩着せがましい・人間性欠如・規則づくめ・たらいまわし・待たせる」という8つのおお罪をおかしてしまいやすい。自分を肯定的に評価し、自分に期待する習慣を持つことは、患者さん満足の創造にもつながる。また、患者さんや内部顧客に対しての肯定的な評価をすることも必要。

【地域連携】
・退院先が決まるだけで安心をしていないか。退院後の「生活」状況をアセスメントし、その安定、QOLの維持・向上を目標に計画介入する。次の社会生活への繋ぎ役。
・退院支援チームの運営は、3つの異なるレベルのチーム(①地域関係機関、②院内スタッフ、③当事者・家族)を戦略的に運営する力量が求められる。システムとしてのものの見方の習得。
・在院日数短縮に伴い、「一病院一人勝ちなし」の時代。一病院ではなく地域を一つの単位と考える。

【財務管理】
・人口推移や社会保障給付費、財政状況を把握し、医療・介護の世界でも財務管理が必要であることの説明。
・6年間で400の病院(小規模)が閉鎖され、現在は50~150床規模の病院が減ってきている。

【医療安全】
・医療人も「ヒト」である限り、一定の頻度で医療過誤が起きてしまうことは避けられない。犯した過ち・失敗を告白し、謝罪することは日常の生活においても辛く難しいことであるが、医療安全を確保するための第一歩は、残念ながら犯してしまった医療における過ちを患者やその家族に誠実に告白・開示することである。これがないと、情報の共有・原因分析・再発防止に努めることができない。

【医療ソーシャルワーカーの業務】
・業務指針を活用する。
・後輩を育てずして専門職とはいえないため、スーパービジョンを検討する。
・3年後の相談室を予測し、日々の業務の中で具体化していく。
・自ら業務をチェックする姿勢を忘れないこと。

【人権擁護とソーシャルワーク】
・成年後見制度・地域権利擁護事業についての説明。
・成年後見制度の費用が高く、行政が費用を貸し付ける制度が存在するが、調査したところ、利用者ゼロの県が多数あった。理由は「住民からその様な相談を受けていない」とのことだったが、現実には費用が高くて利用できない方が多数存在しているので、私たちがそのような声を行政に上げていく必要性があるのではないか。

【他職種とのチームワーク】
・チーム内でソーシャルワーカーがどのように認知されているか、職能としての特色を活かす。
・チームそのものを支える・見る役割。また、チームの中の誰を支えたら、前に進むかを考える。

【スーパービジョン】
・スーパービジョンを構成する要素、①管理機能(何をしたか、しようとしたか)、②教育機能(何が不足しているか)、③支持機能(何を悩んでいるか)
・自覚(スーパービジョンをする立場)、点検(自分のスキル・ツール・特性)、実施(組織内における医療ソーシャルワーカーの養成)、使命(ソーシャルワーカーの人材育成)で人々の福祉(人権と社会正義)が実現できるのではないか。

【療養環境】
・急性期病院、回復期リハ、療養病床、高齢者関連施設の環境比較。
・退院支援には、環境整備のため最終的な状態像の予測、多様な選択肢の提示・情報提供が必要。